変な映画が観たい

しがないWEBデザイナーです。映画と音楽とデザイン関連のこと適度に適当に書きとめます。

テレンス・マリック監督作『聖杯たちの騎士』解説をちょっとだけ

本作は「ストーリーが難解」、「映像が詩的で美しい」、「好き」、「嫌い」、「考えさせられる」、「寝た」等々、わりとボンヤリした感想しか見聞きしないような気がします。
 
それも非常によく分かる…何故ならばこの作品はテレンス・マリック本人の人生についてを本人目線で語っているだけなので(何の説明もなしに)、ただ観ているだけでは意味が分からないのです。
逆を言えば、テレンス・マリックの人となり、送ってきた人生、女性関係、宗教観などなどそれらを知った上で観れば理解できる、そういう映画です。
 
試しにwebサイトの「著名人から絶賛の声が届きました!」の項目を見て下さい。
この人たち絶対意味分かってないと思う~。
 
と、各界の著名人を晒し者にしたところで本題です。
 

自伝三部作

本作は『ツリー・オブ・ライフ』『トゥ・ザ・ワンダー』に続く、自伝3部作の3作目にあたります。
そう、本人が「自伝」と明言しているんです。
それがあまり共有されていないので観ている人たちも混乱するのだと思いますが、分かってしまえば「なーんだ」って感じですよね。
 
ツリー・オブ・ライフ』では厳格な父親との確執を、『トゥ・ザ・ワンダー』ではフランス人女性との結婚について、そして『聖杯たちの騎士』ではハリウッドでの生活とそれを取り巻く女性たちについて描いているのです。
 
テレンス・マリックは殆どメディアに出ませんし、インタビューにも答えないで有名な監督ですので、彼の人生や数少ない発言と照らし合わせて「恐らくそういう話だろう」というのがおおよその見解です。
また本作には父親と弟の話が出てくるのですが、実際テレンス・マリック本人にも弟がいましたし父親との関係は『ツリー・オブ・ライフ』を連想させるものがありました。
そして彼は今まで3回結婚をしているのですが、ケイト・ブランシェット演じるナンシーは1度目の結婚相手のジル・ジェイク、『トゥ・ザ・ワンダー』でオルガ・キュリレンコが演じていたマリーナは2度目の結婚相手であるミシェル・マリー・モレット、そしてまた本作で最後に出てきた女性が現在の奥様アレクサンドラ・ウォレスではないかと推測されます。
 
しかしナンシーとのやり取りで「子供を欲しがっていたのに2人の間には出来なかった」というエピソードが出てくるのですが、それはミシェル・マリー・モレットさんとの間にあった話なのでナンシー役はもしかすると複数の女性が混ざり合った人物とも考えられます。
しかもナンシーとのエピソードの時だけ主人公の上着が替わる瞬間があるのですが、それ以外は常に同じジャケットを着ていました(ような気がする…)。
それらを鑑みるとナンシーとのエピソードだけは空想と回想が混ざり合っているようにも見えますし、また最後の方でも彼女のエピソードだけもう一度繰り返されるので彼にとって特別な存在のように見えるのです。
 
※ナンシーを巡る劇中でのディティールは思い出しながら書いているので間違っていたらすみません。
上映中にもう一度観れたら確認して追記します。
 
なので本作は、自伝的作品であることを念頭に前2作を観た上で鑑賞した方がより理解が深まると思います(3作続けてみるのは相当しんどいと思いますが)。
 
 

タイトルの意味

しかし…分からないのは何故にこんな邦題にしたのかということです。
このタイトルはタロットカードの「杯の騎士」を意味していますが、 “cups” を「聖杯たち」と訳されると途端に意味が分からなくなるような気がしませんかね。
ネーミングセンスによって観る人の理解が邪魔されるのはよくないと思う~。
 
いや、百歩譲ってそれもまぁイイとしましょう。
webサイトにも心ばかりの「杯の騎士」の意味が掲載されていました。
だけどポスターとかにそれを暗示するようなビジュアルを少しくらい使ってくれたって良いんじゃないでしょうか。
米国バージョンのポスターの方が象徴的で映画の内容が分かりやすくなると思うのです。
 

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このビジュアルに“knight of cups”と付いているので察しのいい方などはタロットカードと結び付くし、それの逆位置ということがポイントなのかな、と推測する人もいるでしょう。
 
映画でも8つのパートに分かれているのですが、それもタロットカードの大アルカナと呼ばれる寓意画が描かれたカード名が使用されています(杯の騎士は小アルカナ)。
欲を言えばそれらの解説がパンフレットなどに明記されていればなお良かったんですけどね。
書いてないっすね。
ちょっと調べました。
 
※作中の順番通りの並びです
 

- 正位置 表面化,不安定,懸念,胸騒ぎ,幻滅
- 逆位置 無意識,無知に気づく,夢を見る

吊された男
- 正位置 忍耐,困難,奉仕,献身,状況を受け入れる
- 逆位置 行動が無駄に終わる,骨折り損,盲目,犠牲

隠者
- 正位置 秘智,内省,孤独,核心,真理の探求
- 逆位置 虚実,混沌,劣等感,引きこもり,現世否定

審判
- 正位置 過去の状況を復活させる,最終的な決断,復縁,再会,再開
- 逆位置 再起不能,悲しい別れ,挫折,執着


- 正位置 限界突破,予定を変更せざるを得ない事態
- 逆位置 救済,改革,再建,終焉

教皇
- 正位置 先天的な資質,直観,内なるガイダンス,安らぎ
- 逆位置 閉鎖的,現実逃避,疑心暗鬼,自己中心的


- 正位置 停滞,枯渇,チャンスを失う,落ち着かない
- 逆位置 環境に対する自由,肉体的な変化,仕切りなおし,霊的な能力

自由(愚者)
自由というカードはないみたいなんですが、自由を意味するカードは「愚者」らしいので、便宜上そちらを載せておきます。
- 正位置 取り戻す,楽観主義,可能性,常識をこえた力
- 逆位置 無意味,幻滅,軽率,不安定,気まぐれ,逃走
 
 
と、こういう補足があるといちいち調べなくてイイのにな…
ちょっと作品を観る人に対してパンフレットもwebの内容も不親切だと感じます。
が、配給宣伝している人たちも話の内容を分かってない可能性が高いのでどうにかして欲しいものです(理解していれば補足がどこかに入るはず)。
 
配給宣伝担当者の不勉強がこういった作品の日本での価値を下げているようにも感じるんですよね…って、この作品の理解を配給宣伝会社に押しつけるのは厳しすぎるかもしれませんが、しかしそういうことの積み重ねだと最近では思うのです。
 
はぁ、つらい!
愚痴はもうやめよう。
 
ということで、この自伝3部作についてもっと詳しく知りたい方は町山智洋さんの『映画塾』での『ツリー・オブ・ライフ』予習・復習編2本と、
映画ムダ話『トゥ・ザ・ワンダー』(216円)をお聞きになると良いと思われます。
パンフレットなどを読むよりずっとイイです。
 
そいではまた!
 
次回は『ザ・コンサルタント』についてです。

ニコレッテ・クレビッツ監督作『ワイルド わたしの中の獣』感想

変な映画、好きです。
 
変な映画といえば、
って感じでしょうか。
 
 
また去年ですと、カルロス・ベルムト監督の『マジカル・ガール』を 、ポーランド映画祭でマウゴジャタ・シュモフスカ監督の「ボディ(原題)」を観ましたが、どちらもすっごく変な映画で良かったです。
 
 
本作もそういう類の映画なので、上記に上げたようなおかしげな作品に耐性がないと少し辛い展開かもしれません。
主人公と狼の奇異な生活を淡々と映し出すその演出は、極端に台詞が少なく説明もありませんので主人公の心情や考えていることがほぼ分かりません。
理由もなく、狼に一目惚れした女性がどんどん野生化していき、狼と一体化していくのです。
 
理由もなく、と書きましたが、恋とは常に理由があってするものではないでしょうし、本作においても特に理由はなくても良いわけです。
それがたとえ狼であっても、です。
 
なので彼女を「異常な人」「異界の者」として観る人もいるでしょうが、単純に恋をした女性として観ることもできるでしょうし、そうすることによって普通のラブストーリーとして観ることもできます。
恋をするという行為は、恋の対象者に精神性が近づいていく(近づきたいと願う)ことであり、本作ではその対象が獣だった場合どうなっていくのかという部分に視点を置いています。
その視点から、今まで人間社会に上手く適合できなかった、ある意味では檻に囚われていた彼女の精神が、獣と同一化していくことで徐々に解放されていく過程を描いているのです。
 
まー、変な映画!って感じでしたが!
しかし、他の人の感想も聞いてみたくなる作品ではありました。
 
また、見所としては主人公を演じている女優さんは横顔でしょう。
正面より絶対的に横顔。
つんとした鼻の形が最高だし、伏し目がちにしたときの目元もチャーミング。
こんなクレイジーな役をよく最後までやりきったなと感心します!
 
 
そいではまた!
 
次回はテレンス・マリック『聖杯たちの騎士』かも知れない。
変なタイトル!

ソイ・チェン監督作『ドラゴン×マッハ!』感想

ウィルソン・イップ監督作『SPL/狼よ静かに死ね』の続編(本作はソイ・チェン監督作)。
でも話的には繋がっていなかったですね。
前作にも出ていたウー・ジンさん、サイモン・ヤムさんが違う配役で出演されていましたが。
前回は敵対していましたが今回は親戚(!)っていうね。
ストーリーは都合良すぎるというか、奇跡的超展開が巻き起こったりするのだけれど、それも観客が薄々感じ取っている予想の範囲内の出来事なのでそこに感動は生まれない(まぁそうなりますわな!と心の中で思いました)。
 
しかしながら、この超展開こそがタイトルの所以なのだと思うと納得するしかありません。
原題である“殺破狼”とは、中国の占星術において、吉凶ともに人生に極端な影響を与える“凶星”と呼ばれる3つの星(七殺星・破軍星・貪狼星)のこと。
終わってみれば前作よりもタイトルが意味するものが当てはまっているように感じるのです(前作は凶が凄かったですね!)。
 
 
まぁそんなことよりも…やはり本作の見所はファイトシーンですよね!
これぞ超人。
アベンジャーズに勝てるぞ!!!と思いました。
 
特に注目すべきポイントは刑務所内での乱闘シーン。
看守・警官隊と囚人の殴り合いという激しいアクションに対し、河の激流に身を任せるかのような滑らかなカメラワークが本当に最高でした。
 
役者に目を向けると、トニー・ジャーさんは確かに凄いんですけど今回はちょっと影薄い印象です。
難病の娘を抱えて頑張る、というイイ話パート担当だったので若干キャラクターが弱くなってしまったこともありますし、やはり演技力的にも不利だったかな…という所感。
配役はウー・ジンさんと逆でも良かったかも知れませんね。
 

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なのでどちらかというとウー・ジンさんの方が存在感が立っており、そっちが主人公かと思ったほどです。
彼に関してはアクションはもちろん、演技パートもすごかった。
あまりウー・ジンさんの出演作を観たことがなかったので、まずそこに驚かされました。
麻薬に溺れる潜入捜査官という難しい役柄にも関わらず、激しすぎないよう抑揚を効かせて実在感のある絶妙なラインを引いていたと感じます。
情けない所もありつつ、しかしめっちゃクール、かっこいい男でした。
 

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また、思いのほかすごかったのはマックス・チャンさんです。
まず立ち姿が美しい。
確かにルックスも綺麗な人ですが、そういう意味だけではなく、構えが美しいですね。
トニー・ジャーさんとウー・ジンさんの前に立ちはだかる彼の立ち姿にはゾッとするものがありました。
 

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あのびしっと決まったスーツ、かっちりした髪型、その一糸乱れぬ装いで超絶に強い。
もう「漫画っぽいな…!」と思いました。
こういう人が存在するんですね。
カンフー映画とか観ていて思うのは、アニメやゲームでやってることをリアルで見せてくれる面白さがあると思っているのですが、それを今回も見せてくれたって感じです。
 
あと、ラスボス相手に主人公達が2人で戦うってたまに見る構図なんですけど、カンフーの王道パターンなのかな?
漫画やゲームだと気にならないけど実写だと「えっ、2対1!!(ズル!)」って思うので毎回気になって仕方がない。
それをモノともせず戦うカンフー映画のラスボス達には頭が下がる想いです。
 
しかし1つ気になるのはそのラスボス戦の決着の付け方でした。
主人公たちとラスボスがある状況に追い込まれるのですが、それが最終的にどうなったかうやむやな感じで終わってしまうのでものすごい消化不良。
本当にやめて欲しい。
それまでの過程(バトル)が超面白いからまぁ良いんですけどね…
 
そして気になる箇所があと1つありました。
諸悪の根源である闇組織のオーナー役がルイス・クーさんが演じられているようですね。
観てる最中にはまったく気がつかなかった…
『導火線 flash point』では出てきた瞬間ドニーさんにシメられてたキャピキャピのルイス・クーさんが!
今回は坂本龍一(風)ですよ!
何なんスか、あれ!
 

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いっやぁ、びっくりしたぁ。
 
そんなこんなで驚きと感動と衝撃とが押し寄せる、怒濤のバトルムービーでした!
 
 
次回は『ワイルド 私の中の獣』についてです。
 
ではまた。

チャウ・シンチー監督作『人魚姫』感想

同じ劇場で上映していた『ドラゴン×マッハ!』を観るついでに観ました。
 
想像以上に楽しめたなぁ。
 
ストーリーのハチャメチャ加減、粗めのCG、ナンセンスギャグのオンパレードで古くささは否めない。
正直「それ、きっつー」な箇所が散見されながらも、それでもなお面白い。
思いっきりエンターテイメントに振り切った楽しませ方は良い意味で映画的。
楽しいくて笑えるし、ホロリとさせられて、王道を威風堂々と歩いているかのように風格さえ感じさせられる出来映えでした。
 
 
劇場の雰囲気もまた良かったんですよね。
シネマート新宿の広い劇場で観たのですが、周りの観客はオーバー50のおっさん、おばちゃんが大半を占めていました。
そのパイセン達のレスポンスの良さと言ったら。
みんな笑って泣く、という一体感を感じられて嬉しいのと 、作品の古くさくて王道のスタイルと古式ゆかしい劇場の雰囲気も相まって、小学生時代にタイムスリップしたような錯覚を覚えました。
地元に1つしかない古びた映画館へ父親に連れていってもらった日の思い出がオーバーラップし、そのノスタルジックさにまた涙。
 
映画ってこういう、優しくて暖かくて楽しいものだったよなぁと。
 
あと個人的に凄く良かったのは、長老のお婆ちゃん人魚のキャラクター。
彼女にも最後に見せ場があって上がります。
あのお婆ちゃんの過去をもう少し見せて欲しいと思いましたね。
 
チャウ・シンチー映画をもっと観たいと思いました。
 
 
次回は『ドラゴン×マッハ!』についてです。
ではまた!

ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」感想

存在は知っていたが、今の今までついぞ観ることがなかったノルシュテイン作品を、今年ようやく観て参りました。
 
 
すごい面白い。
アニメーションというか、独特のジャンルが確立されているようにも感じました。
今回の特集では
『25日・最初の日』(1968年/9分)
『ケルジェネツの戦い』(1971年/10分)
『キツネとウサギ』(1973年/12分)
アオサギとツル』(1974年/10分)
『霧の中のハリネズミ』(1975年/10分)
『話の話』(1979年/29分)
の6本が上映されていました。
 
その6本ともテイストが違いながらも、「これがノルシュテインぽさか…」というような一貫した世界観が存在しています。
 
『25日・最初の日』などはキュビズム的な立体感があり、『ケルジェネツの戦い』は宗教絵画的な厳かさで、アオサギとツル』水墨画を利用しています。
また『キツネとウサギ』『霧の中のハリネズミ』は絵本の世界って感じですが、演出方法が違って面白いなぁと。
『キツネとウサギ』では基本、横スクロールの動きでより絵本ぽさ、または紙芝居ぽさがありました。
一方『霧の中のハリネズミ』は背の低いハリネズミが空を見上げたり、霧の中に迷い込んだりするシークエンスは奥行きを感じさせる演出で、絵本の中に迷い込むような感覚にリンクします。
 
最後の『話の話』は上記の一連の手法やテーマの総括的な1作のように見えました。
観念的な要素が組み合わさっており、1回観るだけだとなかなか理解が難しいものがあります。
 
しかし、基本的には無茶苦茶面白かった。
 

 5月にはblu-rayも出るっぽいし、今後観れる機会も増えるでしょう。

その時は是非一度ごらんください。

ハリネズミくんが可愛すぎて悶死寸前間違いない。

 

それでは!

 

 

ドン・チードル監督作『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』感想

今年はちょっと頑張ろうかと思って、新作映画の感想を(できれば)書き残したいと思います。
 
ということで、本年(2017年)1個目はこれです。
 
 
そもそも自分はジャズに疎いので、ジャズの曲やジャズミュージシャンを全く知らないし(名前を聞いたことがあるくらいのレベル)基礎知識すらないんですが、そのような人間が観てどうだったか、という観点で語らせていただければ…
 
で、実際どうだったかというと
 
「全然わっかんねぇな。」
 
っていうね。
 
ドン・チードル扮するマイルス・デイヴィスその人が魅力的かと言えば、まぁ百歩譲ってそうかも知れない、くらいの感じでした。
なかなか良さが伝わってこない。
ユアン・マクレガー分するライターの方に好感持つかといえば、そいつもそいつで特にチャーミングでもない。
 
ストーリーも虚実入り乱れているらしいけれど、虚の部分に面白さがあるかと言えば、やっぱり意味わかんねぇ。っていうか、これ必要?としかならなかった。
 
映画自体も上手い感じには思えないし、良くも悪くもない、感想がない。
 
ムービーウォッチメンでも評論されていたようなので聞いてみたけど、それでも良さが全然わからなかったな。
 
 
こんなにもピンと来ない映画も久々だった。
逆に申し訳ないくらいだよ!
 
新年早々なんなのだろう、この感想。
 
次は頑張ろう。
ではまた。

2016年に観たリバイバル上映作品26本

昔の映画も観る機会があれば観ておきたいなと常々思っています。
しかし膨大な過去作を前にすると何から手を付けていいのやら…となると劇場でリバイバル作が上映されていれば、できるかぎり観ておこう、と決めています。
そんな気持ちで去年観た過去作はこちらです。
(一昨年に新作上映した作品も入ってますが、2番館で2回以上見た新作もリバイバルとして取り扱っています)
 
 
観て良かった順、という感じです。
クストリッツァタルコフスキーは何度か観たことありますが、やはり何度観ても良い… 『2001年宇宙の旅』も『地球に落ちて来た男』も 何度観ても良い…
 
タルコフスキーは今年(2017年)にもK’sシネマで特集が組まれるようで、そちらも是非行きたいなって感じです。
日本人てタルコフスキーが好きなのかな。
毎年のように何かしら上映しているような気がします。
 
クストリッツァは『アンダーグラウンド』が生涯ベスト級に好きな作品なので、こちらも常に上映していただきたい作品でもあります。いつも最後の30分くらいずっと泣いてます。
上映時間がすごく長いですが、観て損はないと思いますので、絶対的に観た方が良い。
そんな中で初見であった『バベットの晩餐会』が最高すぎて、本当に心が洗われるような作品でした。
観る機会があれば、こちらもぜひ観ておくことをオススメします。
 
 
 
その一方で、これは常々言っていることなのですが自分はどうやらルキノ・ヴィスコンティをどうしても好きになれないという事実があります。
なので『山猫』『若者のすべて』はどうしても下になってしまう。
しかし嫌いなのが分かっていてなぜ観るかと言われれば、本当に嫌いなのかどうかを確かめるためとしか言えません。
数作観ただけでは好き嫌いが分からないと思っているからなんですけど。
 
また話は逸れますが、ヴィスコンティと同じくらい好きでもないのに作品を観ている監督と言えばグザヴィエ・ドランさんの作品です。
日本でも話題になった『わたしはロランス』ですが、全然好きじゃない。寧ろお洒落な雰囲気の映像に胸焼けを起こして「ああ、最近の若者って感じだな」くらいの印象でしたし、熱狂しているのも10代20代の人たちだと思っていました。自分には関係ない世界だなって思ってました。
しかしあるきっかけで『マイ・マザー』『胸騒ぎの恋人』を観た時には思ったより楽しめてしまったのですね。
期待していなかったという事もあるでしょうが、意外と面白いぞ、と。
その後、『トム・アット・ザ・ファーム』『Mommy/マミー』が立て続けに上映されたのでどちらも観たのですが、その両方とも全然おもしろくねぇな、と。やっぱり全然好きじゃなかった。
けれど、今年公開予定の『たかが世界の終わり』も観ようと思っています(好きなのか?)。
 
 
まぁそんなドランさん作品と同じで、ヴィスコンティ作品も「一応観とくか、嫌いだけど!」という嫌な気持ちになりに行くために、嫌いなことを確認するために観る、という苦行を自分に課しているのです。
しかしそうすることによって、自分の嫌いな作風をきちんと認識でき、好きな作品がより一層素敵に見えたり、自分が好きな作風がより一層明確になるんですよね。
 
そんな感じで、多分またヴィスコンティ作品が上映されれば観に行って文句言ってると思います。
 
新作ばかりでなく、リバイバル上映映画は行った方がいいよ!!
 
ではまた!