フランス映画祭2016で『アスファルト』を観てきた
ハイ、ということで、フランス映画祭2016へ行ってきましたわい。
基本的に映画祭は余程の事がないと行かないのですが、今回はまぁ、余程のことがあったわけですね!
その余程のこととは!!
イザベル・ユペール襲来ですよ!!!
10年ぶりですよ!!!!
これは行くしかない。
次に肉眼で本人を見る機会なんて
もう一生無いかも!!!!!!!!!
『アスファルト』
9月3日公開に先駆けて観てきたわけですが、イザベル・ユペールの舞台挨拶付きというアリエナイようなお宝回…!
生イザベル・ユペールは神々しくて思わず拝みたくなりました。
菩薩か。
で、肝心な映画の方はと言いますと、正直、9月の本公開が待ちきれない。
そのくらい良かったっす。
作品としての好き度で言ったら今年1番かもしれません。
というか、全映画人(俳優・監督・故人含む)の中で1番好きなのがイザベル・ユペールなので、かなりファン目線の評価に成らざるを得ませんが。
いや、でも本当にもう…たまらん………
たまらん…!!
いやぁ、この感想だけだと、ただただ気持ち悪いヤツでしかないので意味が分からないですよね、ご説明(釈明)させてください。
本作はフランス郊外にある寂れた団地が舞台です。
その団地に住む人々の交流を3部構成で描いたほのぼのヒューマンコメディ。
かなり笑えます。めっちゃおかしい。
テンポが良いので清々しく、どの国の人にもわかるような普遍性があります。
1人で観ても楽しいのはもちろん、家族、恋人、友人、だれと一緒でも楽しく観られるハズ。
そして着目すべきは時代設定。
現代風なのだけれど、出てくるがジェットが随分と古めかしい。
スマホもパソコンも出てこない。
女優の室内にあるTVはディスプレイ式だが、そこにはVHSが繋がれている。
そして青年の家にあるTVはブラウン管。
にもかかわらず妙にしっくりきているから、まるでパラレルワールドに迷い込んだかのような感覚です。
そんな独特な世界観に出てくるキャラクターはみな可愛らしく、しかもその関係性が微笑ましくて本当にイイ。
ニコニコです。
素敵すぎるんです。
特に一番ぐっときたのは、ティーンエイジャーとその隣に越してきた落ち目の女優の交流を描いたパート(イザベル・ユペールだからね…)。
恐らく高校生ぐらいの青年(少年?)は母親と2人暮らし、らしい。
らしいというのは、母親は一度も出てこないから。
朝になるとご飯代のお金がキッチンに置かれているだけで、彼と顔を合わせている様子はない。ほぼ一人暮らしのような生活を送っているのがなんとなく想像できる。
その隣へ大荷物を抱えて引っ越してきた1人の女性。
年齢は、母親と同じくらいなのだろうか?
寂れた団地に似つかわしくない、浮世離れした雰囲気を醸し出している。
そこでの生活に慣れない彼女を青年は気ままに、しかし甲斐甲斐しく世話を焼く。
まるで、手の掛かる母親の相手をするかのように。
親ほど年の離れた彼女は、時に少女のように気まぐれで、何だか少し謎めいている。
それとは逆に、まだ10代であろう青年は長年独り暮らしめいた生活を送っているからか、随分と大人びた印象だ。
そんなちぐはぐな2人が少しずつお互いの孤独を感じ取り、心を通わせていく。
さすがに恋に発展することはないだろうと高をくくるが、青年の大人びた態度と彼女の可憐なしぐさに思わず心が奪われる。
そして2人の視線の交わりに、ついドキリとしてしまうのだ。
これはなかなかあり得ないケミストリー。
演じるジュール・ベンシェトリ君のナチュラルで清廉な佇まい、そしてイザベル・ユペールの世間知らずで生活感のない雰囲気が功を奏しており、いやらしさが全くない。
性的な魅力とは別次元で、お互いの孤独を補うように惹かれあっていく様子は微笑ましくも、ほんの少し、切ない。
もうね、響きまくりですよ。
出てくる人たち全てが愛おしく感じる。
幸せになってほしい。
幸せであってほしい。
心穏やかでいてほしい。
そう願わずには居られない。
ずっとこの映画のことばかり考えてしまう。
それほどに、好きになってしまった。
もうなんていうか、好きというより、愛しています。
やー、観て欲しいし、自分も観に行きたいなと、思わずにはいられないわけです。
なのでね、公開までまだ時間もあることだし、執拗にこの映画を押していきたいと思いますわ。
ではまた。